Part 1では、文を区切る手法についてご説明しました。
Part 2では、敬語や主語の省略など、誤訳の要因となる表現への対処法を紹介します。
それぞれ例文を用意していますので、順番に見ていきましょう。
敬語を使わず、シンプルに書く
敬語表現は、機械翻訳を使用する際に誤訳の原因になる可能性があります。
あくまで一例ではありますが、以下のように敬語を置き換えてみてください。
・「なります」が未来形の「will」として訳されてしまう
「なります」は、「です」に置き換えましょう。
ご注文の商品になります。
It will be the item you ordered. [ご注文の商品になるでしょう]ご注文の商品です。
This is the product you ordered.
・「られる」が可能の意味で訳されてしまう
「られる」は、「ます」に置き換えましょう。
社長は2時に会社を出られる。
The president can leave the company at 2 o’clock. [社長は2時に会社を出ることができます]社長は2時に会社を出ます。
The president leaves the company at 2 o’clock.
上記以外でも「ご無沙汰しています」のようなあいさつ表現も正しく翻訳されないことがありますので、使用を避けることをオススメします。
「誰が」をハッキリさせる
日本語では主語を明確にせずとも意味が通じてしまうことがありますが、機械翻訳で英訳する際は、「誰が」ということをハッキリさせましょう。主語をハッキリさせないと勝手に主語が補われ、不自然な文章になる可能性があります。
私には、今日休むという連絡が来ています。
I have been informed that I will be taking a rest today. [私には、私が今日休むという連絡が来ています。]私には、彼が今日休むという連絡が来ています。
I have been informed that he will be absent today.
「誰の」をハッキリさせる
所有格が明確でないと主語と同様に勝手に所有格が補われ、意味が変わることがあります。
私が携帯を落としたことを彼が家族に伝えました。
He told his family that I had dropped my cell phone. [私が携帯を落としたことを彼が彼の家族に伝えました。]私が携帯を落としたことを彼が私の家族に伝えました。
He told my family that I had dropped my cell phone.
「いつ」をハッキリさせる
時間情報を明確にしないと、日本語の意図と異なる時間情報で訳出されることがあります。
予定の説明が普段の習慣として翻訳されるケースがありますので、注意が必要です。
私は午前中に掃除をします。
I clean in the morning.[私は(習慣的に)午前中に掃除をします]私は今日の午前中に掃除をします。
I will clean this morning.普段、私は午前中に掃除をします。
I usually clean in the morning.
以上のように、日本語でついつい使ってしまう曖昧な表現をハッキリさせることで、翻訳結果の改善が望めます。
次回のPart 3では、固有名詞や数字を含む文章を上手く翻訳するコツをご紹介します。
※機械翻訳は日進月歩で進化する技術のため、本記事に掲載している機械翻訳の翻訳結果は、現在の結果とは一致しないこともあります。
参考:自動翻訳大全(坂西 優/山田 優 共著)