これまでのブログでも説明してきたように、精度が上がったとはいえ、機械翻訳も完璧ではなく、間違えることがあります。しかし、「だから使えない」と短絡的に判断しては、もったいない! うまく使いこなすスキルを身に付ければ、こんなに手軽な言語の壁を越えるツールはありません。
では、どうすればうまく使いこなせるでしょうか?
それは、機械翻訳の特性やクセを把握すること!
そうすれば、機械翻訳のミスを回避して、質の高い訳文につながります。
機械翻訳の7クセ(ななくせ)
1. 「反対の意味」に訳すことがある
否定文を肯定文に訳したり、逆に肯定文を否定文に訳したり・・・。
文脈を理解していない機械翻訳ならではのエラーです。
2. 「訳抜け」を起こすことがある
最新の機械翻訳は、単語を1語ずつ対応させて翻訳していません。
だから、原文にある単語をすっぽりと抜かしてしまうことがあります。
1文が長くなるほど、このクセは起こりやすくなるので、長文には注意が必要ですね。
3. 「多義語」や「同音異義語」は苦手
一つの単語で複数の意味を持つ「多義語」や、同じ読み方で異なる意味がある「同音異義語」は、いくつかある候補から機械翻訳が正しい訳を選ぶとは限りません。
There was not a single man at the party.
「パーティーに人っ子一人いなかった」
「パーティーに独身の男は誰もいなかった」
4. 「未知語」に弱い
機械翻訳のベースは、過去の対訳データからの学習によるものです。
だから、学習したデータに無い未知の単語や言い回しに弱く、別の意味に訳すことも。
最近使われ始めた新しい用語や、はやり言葉などには、要注意ですね。
5. 訳語が統一されない
一つの文章の中で、同じ単語に違う訳語が当てられることがあります。
日進月歩の機械翻訳サービスでは、徐々に改善されてきているクセではありますが、まだまだ注意を払う必要があります。
6. 訳文の「付け足し」
機械翻訳は、原文に無い文章を付け足してしまうことがあります。
理解しづらい現象かもしれませんが、起こり得る機械翻訳のクセです。
7. 文章のトーンは無視される
原文の文体がフォーマルであったり、カジュアルであったり。他に、文末の「~のだ」「~のだろう」のような心的態度を示す表現が含まれているなど、文章にはさまざまな要素が存在しますが、訳文にそのようなスタイルやトーンは反映されません。
機械翻訳のクセを把握して、上手に使いこなすことが重要ですね。
参考:自動翻訳大全(坂西 優/山田 優 共著)