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翻訳サービスで生成AIの活用が本格化、
業務利用で考慮すべきセキュリティーリスクとは(後編)

一般向け生成AI翻訳サービスと、企業向け生成AI翻訳サービスの違いとは

前編では、一般向け生成AI翻訳サービスのセキュリティーリスクについて説明しました。そのような事情があるため、生成AI翻訳のセキュリティーリスクに対応するためには、企業向けの生成AI翻訳サービスを利用することが有効な選択肢となります。企業向けの生成AI翻訳サービスは、生成AIを活用した翻訳を企業が安全に利用できるように、安全な設計と仕組みの下で提供されるサービスです。

 例えば、Microsoft社のAzure OpenAI Serviceという生成AIプラットフォーム(開発基盤)を利用した翻訳サービスがあります。Azure OpenAI Serviceの中に、ChatGPTと同等の機能が提供されており、それを活用することで、生成AI翻訳をセキュリティーリスクに対応した環境で利用できます。

中には、OpenAI社と業務提携契約を結び、ChatGPT機能を提供している企業向け生成AI翻訳サービスもあります。OpenAI社の標準ポリシーによると、一般的に利用できるChatGPTでは不正利用監視のためにデータが最大30日間保存される可能性がありますが、この契約により、いかなる目的でもデータは一切保存されないことが保証されています。そのため、よりプライバシーと機密性が向上しているサービスといえます。

 生成AIプラットフォームとしては、Azure OpenAI Serviceの他にも、Amazon Web Services(AWS)が提供するAmazon Bedrock(ベッドロック)や、Google Cloudが提供するVertex AI(バーテックスAI)などがあります。各企業がこれら開発基盤を使って生成AI翻訳システムを開発することもできますが、その手間とコストや時間を省き、すぐに利用できるサービスとして提供されるのが企業向け生成AI翻訳サービスとなります。

企業向けの生成AI翻訳サービスは、どのようにセキュリティーを担保しているのか

 企業向けの生成AI翻訳サービスと、一般向けの生成AI翻訳サービスとの違いは、データ管理の仕組みと強固なセキュリティー対策にあります。

 企業向けの生成AI翻訳サービスでは、データはユーザー企業ごとに管理され、他の企業が利用するデータと混在しないような仕組みが採用されます。また、データはもちろん、データを保存するストレージ、アクセスする際のネットワークやユーザー権限などに強固なセキュリティー対策が施されます。これにより、情報漏えいやサイバー攻撃などから企業データを保護します。

具体的なセキュリティー対策

 具体的な仕組みとしては、プライベートネットワーク、セグメンテーション、アクセス制限、暗号化、国内データセンターの利用などでデータを保護しています。

 プライベートネットワークは、インターネットなどの誰でも利用できるネットワークではなく、企業だけが利用できるネットワークを構築し、そのネットワーク内で情報をやりとりする仕組みです。生成AIはクラウドの機能を利用しますが、クラウド上のプライベートネットワークで生成AIを利用できるようにすることで、データを外部に出さずに利用できるようになります。

 セグメンテーションは、ネットワークを一定の区画に分けて管理する仕組みです。事業部やプロジェクトごとに異なるセグメンテーションを設けることで、部門やプロジェクトをまたがったデータの移動もできなくなります。生成AI翻訳で利用するストレージやAPIを異なるセグメントに分けることでセキュリティーが担保されます。

 アクセス制限は、データやシステムを誰が利用できるかを決める仕組みです。生成AIの機能や生成で利用できるデータにアクセス制限をかけることで、権限のないユーザーが機密データを含むファイルを翻訳できないようにしたり、生成AI翻訳による学習を制限したりできます。

 暗号化は、データの暗号化や通信の暗号化です。生成AI翻訳を利用する際に、データをマスクして学習を防いだり、万一外部へ重要データが流出した際も他人に読み取られないようにします。

 国内データセンターの利用は、海外データセンターにデータを保管せずに国内で管理するものです。クラウド事業者に対して、国内法にのっとった要求と対応を求めることができます。

生成AIを活用するなら、安全な環境で

 こうした仕組みの構築は、企業向け生成AI翻訳サービスを提供する事業者が行います。企業向け生成AI翻訳サービスを利用することで、セキュリティーが担保された安全な環境で、生成AI翻訳を活用できるようになります。

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